読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

私は文章しか書けない

http://bluenwhite.hatenablog.com/entry/2017/01/28/075235

退職の切りだし方

退職の切りだし方はむずかしい。恋人に別れを切りだすよりずっと、むずかしい。なぜならそこには責任というものに付随する、しかるべき配慮が求められるからである。もうこれっきり、あとのことは残った人たちで、煮るなり焼くなり好きにして、といった姿勢はなかなかできない(実際にはそういう人もいるけれど)。だって、担当者がいなくなったからといって、仕事も一緒になくなる訳ではないから、結局は残された人たちに、訳の分からない仕事が突然ふりかかる、という不幸な末路をむかえる。これはもし逆の立場だったら、たまったものじゃない。だから、きちんと後任の公認をもらってから立ち去りたい、そう思う(つまらないですね、すみません)。

 

次にこの一件をだれに、どのように切りだすべきか、という問いが生まれるけれど、まずは業務の采配を持つ上司に、心が決まったらすぐに、退職時期・後任者の相談という形で、切りだすのが正当じゃないかと思う。すべては後任者への配慮のもとに、である。そんなわけで(どんなわけだ)私は今日、うまれて初めて、上司に退職を切りだす。

 

初めてというものには、おのずと漠然とした緊張と不安がともなう。私は今の仕事を始めてから、数々の初めてを経験した。初めての路上運転、電話対応、営業活動、取材・広告作成、講演会での成果発表、冬場の雪道運転、畑仕事、ひとり暮らし。根が臆病な私は、初めてが訪れるたびに、その先に何か大きな不幸が待っているのではないかと、未知なる機会におそれおののいた。

 

でもね、結局は何も起こらなかった。ただ後に残るのは、小さな自信だけ。だから、退職を切りだすという機会を前に考えることは、高ぶる気持ちを「なだめすかせ」ということだけである。それが一番の正しいあり方だという、ありありとした実感が私にはある、というか経験から学んだ。初めての機会にひょいと飛びこみ、おそいかかる緊張感と不安ととっくみ合いながら、なんとかなだめすかせたその後には、目の前に新しい地平線が広がる。これは私にとっては大きな喜びです。