ためになる言葉を血肉にする 個人的試みの場としてのブログ

http://bluenwhite.hatenablog.com/entry/2017/01/28/075235

コーチ柄のショルダーバック

有名ブランドのバックが目立って浮いた、ちぐはぐな恰好をした人を見かけることがわりによくある。この間はファー付きのカーキ色のダウンコートにダボッとしたジーンズを履いて、足元は明るい茶色のトレッキングシューズ、という中年の男性に出会った。服装はあくまでラフでカジュアルなのに、肩にかけられたコーチ柄の黒いショルダーバックがやたらに目につく。

 

そういう人を見かけると、ううむ、文脈的にはマッハンポーテージのバックパックではないだろうか、とひそかに首をひねったりする。これはまた別の意味ですごく気になってしまう。どこからどこまでが彼自身の意志で為されたのか、という疑念である。だって、コーチ柄のショルダーバックを自ら好んで持つ人は、これは男女関係なく、身体のラインを強調するようなシルエットでそれなりにキメた装いをしているもの、ではないでしょうか。

 

まず一番に考えられるのは、奥さんからの贈り物である。築50年の一軒家で迎える日曜の朝。ひとり黙々と掃除機をかける女性の横顔からは喜びはおろか、苦労も読み取れない。ただ同じように過ぎる平和で退屈な主婦の日常につきものである、ゴロゴロと寝てばかりいる夫。いつしか若い頃のようにくいっと裾を引っ張っりながら、どこか遊びに連れてってなんてお願いすることもなくなった。

 

ふと部屋の隅に、使い古されくたびれた様子のショルダーバックが目に入る。すると言い様のない変化を切望する感情におそわれる・・・。そういえばもうすぐ夫の誕生日だった。そうだバックを買ってあげよう、それもブランド物のとびきりセクシーなバックを。そうこれからの新しい私たちの関係を象徴するような…。なんだかドロドロした展開になってしまいそうだから、このへんでやめておこう。

 

コーチ柄バックのおじさんには今朝も会ったけれどラフな服装でボケっと信号を待っていて、あいわらずコーチ柄のショルダーバックだけが妙に浮いていた。やはり見るほどに似合っていない(失礼だ)。何にしてもやはり、当人の身の丈にあっているということ、が一番だなと思う。