私は文章しか書けない

http://bluenwhite.hatenablog.com/entry/2017/01/28/075235

ある種の特別な風が吹いて

 

2月終わりに、特別な風が吹いた。真正面からおもむろに受けると雪が針となって突き刺さり、顔が真っ赤に腫れてしまうほどの突風だ。これは単なる強風ではないなと思った。それがどのようなものかは分からないけれど、これから何かが始まる(同時に何かが終わる)ただならぬ意志を感じずにはいられない、ある種の特別な風だった。

 

その翌日から、太陽が顔を見せるようになった。居座りつづけた灰色の雲は重い腰をあげ、ぐっと気温が上がり、路面の雪は解けて茶色のシャーベット状になって広がった。そしてその夜、空に星を見た。いったいいつぶりだろうか、思い出せないほど長い間、星空を見ていなかった。とはいっても繁華街。見えるのは北斗七星くらいである。でもこれは(大げさでなく)マウナケアの山頂から見る星空にも負けないほどの、胸を打つ何かがあった。人の幸福や感動というものは、第一に相対的なものなのだ。

 

札幌の冬は長く、静かで暗い。さえない曇り空と冷たい降雪がだらだらと続く。これは北向きのマンションの一室で電気をつけずに毎日を過ごすような感じで、かなりパッとしない。春が来る。北国でむかえる春というのは、こんなにも喜ばしいものなのかと、私はただ、驚いている。